はじめに
三菱総研DCSのAIエンジニアの桃井です。
当社は2月18~19日に開催された東京デジタルイノベーション2020にてブース出展を行いました。当日はマルチクラウドストレージサービス「Dibertas」や、多要素認証サービス「FQ-MA」などの当社ソリューションの紹介の他、ロボティクスやAI、IoTなどの実証実験の取り組みを紹介しました。また、IoTに関しては以下の2つのサンプルアプリを作成し、実際にデモンストレーションを行いました。
①カメラを利用したブース来訪者の計測・動線可視化アプリ
②重りセンサーを利用したリーフレットの残量計測・不足通知アプリ
これらのアプリの実装方法や使用機器などについて、全4回でご紹介したいと思います。第1回では概要やアプリの全体像について説明します。第2回、第3回では①のカメラの利用事例について、第4回では②のセンサーの利用事例について説明します。
第1回 デモアプリの概要
第2回 来訪者の動線可視化
第3回 来訪者の人数計測
第4回 リーフレットの残量計測
※本デモで撮影した画像は保存せず、推論後、直ちに破棄しております。また、推論された性別などのデータはイベント終了後に削除しております。
アプリケーションの概要
作成したアプリケーションについて、もう少し詳細に説明します。
①カメラを利用したブース来訪者の計測・動線可視化アプリ
当社の出展ブースは図1のようなレイアウトになっていました。
図1. ブースのレイアウトとデバイスの配置
ブース右側にはパネルが取り付けられ、当社の取り組みやソリューションを紹介するエリアになっていました(以下、展示スペースと呼びます)。4枚あるパネルの中央上部に広角カメラを設置し、エリア内の人物の動線の追跡や、滞在時間の計測を行いました。
(第2回で紹介)
ブース左側にはディスプレイがあり、一定時間ごとに当社社員によるセッションが行われました(以下、イベントスペースと呼びます)。このディスプレイの上部にカメラを設置し、ディスプレイを見ている人の人数を一定間隔でカウントしました。また、同時に画像から来場者の年齢と性別の推定を行いました。
(第3回で紹介)
②重りセンサーを用いたリーフレットの残量計測・不足通知アプリ
当日配布していたリーフレットの在庫を、重りセンサーで計測、一定未満になったら運営スタッフのLINEに通知が送られるようにしました。
(第4回で紹介)
これらの計測データを可視化したダッシュボード(図2)を作成し、ブースに設置したモニタに表示しました。
図2. ダッシュボードの画面
システム構成
システム全体の構成は図3のようになります。
図3. システム構成
カメラやセンサーで計測したデータを各エッジ端末上で推論した後、IoTゲートウェイも兼ねた中継用エッジ端末に集約し、AWS上のElasticSearchに送信します。次に、S3上にホストしたWEBアプリケーションとKibanaを用い、計測データを可視化したダッシュボードを作成します。最後に、ゲートウェイのエッジ端末を通じてダッシュボードをモニタに表示します。
また、IoTデバイスのデータを送信するための主な方法としては、以下の2つがあります。
① LPWA(Sigfox,LoRaWAN)やセルラー通信を利用して、個々のデバイスが直接インターネットに接続
② IoTゲートウェイを経由して接続
今回は②の方法を採用し、中継用エッジ端末にNode-Red[1]サービスを立ち上げてIoTゲートウェイとしました。また、各デバイスからゲートウェイまでのローカル通信の方式も考慮する必要があります。有線接続(LAN、USBなど)、無線接続(WiFi、Bluetoothなど)から、消費電力や配線、距離、会場のルールに応じて選択しました。
[1] Node-Red:IoTアプリケーションの動作をノードとネットワークによって表すフローベースの開発ツール
まとめ
以上、イベントで展示したIoTデモアプリケーションについて、概要や構成について説明しました。次回以降は実際に作成したデモアプリケーションについて掘り下げて説明します。