KCSはじめました ~社内実証実験に参加したユーザーの声~

シェアードサービス部業務企画グループの若山です。

前投稿に引き続き、社内で実施したKCSを活用した実証実験のご紹介をしていきます。
今回は社内実証実験に参加したユーザーの声から、やってみてわかったこと、気づいたことをご紹介します。

    目次
  1. 実証実験の概要
  2. アンケート結果とわかったこと
  3. ヘビーユーザーの生の声
  4. ヘビーユーザーから生の声を受けて
  5. おわりに

実証実験の概要

業務知識の共有促進や属人化排除による業務効率化を支援するKCSを取り入れたツールをお客様にご提案するにあたり、KCS運用体制の確立・KCSプロセスの確立を狙いとした社内実証実験を行いました。

全社員を対象に、PCトラブルや各種手続きの問合せを新たに構築したポータルサイト(ITライフサイクルサポートサービス)を通じて行ってもらいました。ポータルサイトでは以下のような機能が備わっています。
・チャット形式での問合せ
・過去の問合せ内容がナレッジとして蓄積。キーワードを入力して検索することが可能
・過去の問合せが「最も読まれている記事」等のジャンルで表示される

アンケート結果とわかったこと

  実証実験後に、参加した社員にアンケートを実施しました。

■アンケート結果①:使用感について

KCSを体感してもらい、使用感について問うアンケート結果では、約70%の方に「とても満足」・「満足」との回答を得られました。チャット形式による問合せのしやすさや、自己解決の手段として「最も読まれている記事」が掲載されている点が好評でした。

ちなみに、読まれている第1位の記事は『会議室の空き部屋を探す方法について』です。230回も参照されているので、意外なことで悩んでいる方が多いことがわかりました。チャット形式だからこそ、気軽に聞けて、無駄に悩む時間も削減していけるのだな、と改めて実感しました。

一方で、検索機能の性能に関するネガティブな声もありました。検索機能の性能はサービス基盤に由来する面もあるうえに、KCSではユーザーからの問合せがあって初めてナレッジが蓄積されていくため、立ち上げ段階ではどうしても検索のヒット率は低くなってしまいます。

そのため、サービス基盤の検索機能の改善に対応すると共に、ナレッジを継続的に蓄積し、検索ヒット率を向上させていくことが重要となります。

■アンケート結果②:問合せ機能について

問合せ機能に関しては、81%の方に「とても満足」・「満足」との回答を得られました。問合せ先が一本化し、ユーザーのタイミングで問合せが可能になる点が評価されています。

一方で、回答時間に関するネガティブな意見については、実証実験段階ということもあり、今後のサービスレベルアップ課題として取り組んでいきます。次回、運用担当者の苦労話や今後の展望について掲載予定なので、そちらも是非チェックしてください。

ヘビーユーザーの生の声

次に、実証実験中に毎日問合せをして頂いた、ヘビーユーザーからの生の声をご紹介します。

KCS実証実験でたくさん質問してみました!

ナレッジマネジメントの国際フレームワークであるKCSがどのようなものか知るために、社内実証実験のユーザー側(問合せ者)として参加してみました。チャット形式で気軽に問合せができるので、毎日1件以上、計120件も質問してみました。

①始める前に抱いていたKCSのイメージ
・普通のFAQと何が違うのだろう?
・ツールの使い勝手に影響されちゃうのでは?
・素人が1次窓口になるって、すぐ機能しないのでは?
・属人化しているヘルプデスクの効率化なんて、そう簡単じゃないはず
などなど、実は、半信半疑でした。

②始めの頃の間違った問合せ
最初は実証実験に協力する意識が強かったので、過去自身で疑問に思ったことや他メンバーから質問を受けたものを、問合せしていきました。私がたくさんそういった質問をしているので、ある時ポータルサイトのサポートデスク担当者からはこのようなことを言われました。

「あなたの質問は答えがわかった上で書かれているから、ナレッジ蓄積としては有益ではない。なぜなら、質問文が、あまりにも正確な文章・単語の使い方になっているから。困っている人は、ここまで正しく書けないです。その曖昧な記述が、ナレッジのキモなんです!」

たしかに、問合せするときって抽象的な言葉づかいになることがありますよね。「積極的に問合せよう」と思っていたのが仇になってしまいました。(苦笑)

③慣れてきたころ
ちょっとした不明点や知りたいことを気軽に質問し、回答をもらうことで、学びが増えていきました。ナレッジが登録されることによって、自分が貢献しているのだという気持ちも抱くようになって、ポイントを貯めるような感じで、質問するのが楽しくなりました。

私の問い合わせで、1次窓口の方から「私も知らなかったです。困っていたので、質問してくれて助かりました!」と言ってもらえて、うれしかったです。

④3ヶ月の実証実験が終わって
気軽に質問するのが、普通になってきていたので、違う形でも、継続して欲しいなと思います。自分が困っていることは、他の人も困っている、と思い、ナレッジ登録を増やしていくのが楽しかったです!

運営側が準備するFAQでは、なかなか答えが見つかりませんが、KCSは、実際に困ったことから、その困った人の記述・単語でナレッジをつくるので、鮮度がいいです。どんどん、新しいナレッジを蓄積し、チームメンバーとともに知識を増やしていきたいです!

ヘビーユーザーの生の声を受けて

KCSはちょっとした不明点もナレッジ化していくことで、問合せ対応者の経験や知識の差を軽減できることが大きいメリットです。1度あった問合せはナレッジ化し、全ての対応者が見られるデータベースに登録されます。つまり、2度目以降の問合せは勤務1日目の新人さんでも対応できるようになります。

一方で、このヘビーユーザーさんの「良かれ」と思った行動のように、既存の知識がある状態で問い合わせをすると、どうしても専門的な言い回しになってしまいます。そうすると、ユーザーはもちろんですが、新人対応者も専門知識がない状態なので、ナレッジを検索することが難しくなり、ヒットされない陳腐化したナレッジになってしまいます。

正しい用語を使おうと気負わずに、ご自身の言葉で問合せることで、より検索されるナレッジに育ち、KCSの効果が最大限に発揮されます。なので、ユーザーの皆さんには気軽に色んなことを問合せしてもらいたいですね!

おわりに

非常に前向きな感想をたくさん頂き、我々も手探りで始めたKCSに対して自信が持てるようになりました。今回の記事でも少し取り上げましたが、課題も同時に顕在化しましたので、ツール改善・プロセス改善をメンバー一丸となって対応中です。

次回のブログでは、システム設計・開発の視点から気づきや今後の展望についてご紹介していきます。


KCSあいうえお作文~
K … 軽く                      
C … チャットして                  
S … ささっと解決                  

次回も是非お楽しみに!