ユーザビリティ向上しませんか?~システム改善のUX~

はじめに

三菱総研DCSのエクスペリエンスデザイングループの湯本です。普段の業務ではUI/UXデザイナーとして案件に携わっています。

いま、世の中は日々めまぐるしい技術の進歩によって、次々と新しいサービスやプロダクトが生まれています。サービスが溢れ、ユーザーの利用シーンやデバイスが多様化する中で、システムやサービスは「ユーザーにとっていかに使いやすいか」(=ユーザビリティ)というユーザーからの視点が、お客様に選ばれ続けるためには重要です。

今回、社内の「ユーザビリティ向上」施策の一環で、当社開発のシステムに対してユーザビリティテストを行いましたので、実施した工程や得た学びを紹介したいと思います。

目次

  1. 概要 ユーザビリティテストとは?
  2. 実施のながれ
  3. 実施した中での気付き
  4. 案件への導入について
  5. まとめ

 概要 ユーザビリティテストとは?

ユーザビリティテストとは、実際にユーザーにサービスを使用してもらって、その反応を見ることで、ユーザビリティ(使いやすさ)を評価する手法です。「ユーザーが、実際はどのようにサービスを使うか」について直接的な意見をもらうことで、サービスの使いやすさを向上させるための課題を見つけることが目的となります。

今回は、ユーザー視点による評価が有効であることを開発部と共有すべく、社内で開発したシステムに対してユーザビリティテストを実施しました。ユーザビリティの視点が社内の開発システムに組み込まれることで、当社のUIデザイン品質を向上させることが狙いです。

 実施のながれ

取り組みにあたって、以下の流れで準備から実施まで行っていきました。

  1. 事前準備
  2. テスト実施
  3. 報告レポート

 

1.事前準備

テスト対象は「従業員管理システム」です。事前に開発担当の方からシステムの概要説明を受け、ユーザビリティテストで使用できる環境を用意してもらいました。こちらの環境を操作し、ユーザビリティテストで重点的に検証を行う対象を定めていきます。

・ 仮説検証
当グループの「ユーザビリティチェック指標」および「アクセシビリティチェック指標」をもとに、従業員管理システムを評価していきました。これらは、「ユーザビリティ」および「アクセシビリティ」の観点において、ユーザーにとって問題なく操作ができるかどうかを確かめる指標です。 チェック結果でNGだった箇所の中で、ユーザーが操作を迷ってしまうだろう操作の仮説を立てていきます。

・ テストシナリオ作成
前段で立てた仮説を検証できるテストのストーリーを作成します。また、テストに必要なユーザーの前提条件についてもヒアリングできるように、インタビューのスクリプトもここで考えます。

・ パイロットテスト
パイロットテストとは、本番前に「ユーザビリティテストをテストする」工程です。UXデザイナーの先輩に協力してもらい、テストのストーリーの実践レビューとリハーサルを兼ねて実施しました。

2.テスト実施

いよいよテスト当日です。

・ 実施環境
当社に設置してある動画スタジオを、ユーザビリティテスト実施用として下記の図のように設置しました。
「操作するスマートフォンの画面」、「ユーザーの手元」、「モデレーターとモニターの全体が分かる映像」を3カメラで撮影し、記録係が見やすいように部屋の中央モニターに分割して表示しました。

↑当社動画スタジオの配置図。カメラの映像が逆光にならないように、照明の有無も気を遣います。

↑モニターの手元。奥にあるのが手元を映すカメラです。
操作している最中に手元がカメラから外れないように、撮影範囲を黄色テープで囲う工夫をしました

・モニター選定
ユーザー役のモニターとして、当社の3名に協力してもらいました。
今回はモニターの調達先が社内限定だったため、なるべく偏りを少なくするために「異なる社会人経歴」を軸としてモニターを選定しました。協力してもらったのは、「中堅社員」、「新人社員」、「キャリア入社社員」の3名です。
※実案件のユーザビリティテストではITリテラシーやシステムに関する事前知識の有無などでスクリーニングし、ユーザー選定を行います。

・ テスト実施
モニターを部屋に案内したあと、早速テスト開始といきたいところですが、まずはアイスブレイクから入ります。当日時間を割いて下さったことへの感謝や、「こういったテストは初めてですか?」という軽い質問で、モニターの緊張を和らげることを意識しました。そして、「今日行うのはあなたを試すテストではなく、サービスのテストなので自然体で実施してほしい」ことや、操作を行う際は「思考発話」をしてほしいことを伝えました。

・ 思考発話法
操作している際などに、感じたことをそのまま発話する手法です。
(例:「えっと・・次に行くボタンはこれかな?これを押せばいいのかな。」など。操作を行っているときに考えていることをそのまま声に出します。)
思考発話のメリットは、ユーザーが操作中に何を考えているかを知ることが出来る点です。また、「実況するつもりでお願いします」といった具合に、イメージを伝えると相手に伝わりやすくなります。

3.報告レポート

テスト実施内容と結果についてまとめたレポートを、題材としていた従業員管理システムの開発部の方々へ報告しました。実施した内容から得られた考察や、画面の改善案などについて提示しました。

 実施した中での気付き

・ 仮説検証の重要性
ユーザビリティテスト実施にあたって、事前の仮説検証がとても大事ということが分かりました。
事前に仮説検証を行うことで、「このシステムは誰がどのような目的で」「どのように操作する」「つまずきやすいポイント」について当たりを付けることができます。漠然とシステムを操作して課題を探そうとするよりも、仮説をもってシステムを評価することでユーザビリティ上の課題を浮き彫りにしやすく、課題の根拠も明確になります。
そして、「よりよいシステムとは」という指標をもっておくことは、ユーザビリティを考えるうえで非常に大切です。

・ 全体を通して
普段開発担当者が行っているような単体テストや結合テストは、機能的な品質に対して検証を行います。「実際にユーザーに使ってもらい、生の声を聴く」、そこからサービスの改善を考えることは、開発担当者やモニターとして参加してくれた方にとっても新鮮な取組みに感じてもらえたようです。
当社のサービス全般に言えることですが、今後サービスを考案・改善する中でユーザー視点を意識し、より高い品質を目指すことができるよう、私たちデザイングループも尽力していこうと改めて感じることができました。

 案件への導入について

今回は社内のシステムに対してユーザビリティテストを実施しましたが、当グループでは社外のお客様のシステムを対象としたユーザビリティテストも実施しております。

<導入事例> 第三者視点によるUI/UX検証でリリース前に利用者の使いやすさを改善

 まとめ

本ユーザビリティテストは動画スタジオでカメラ3台を用いた大掛かりなセットでテストを実施しましたが、ユーザビリティテストは小さく始めることだってできます。「隣の案件のあの人に30分だけ時間をもらって画面の使いやすさの感想を聞いてみよう」なんていうことだって立派なユーザビリティテストです。

冒頭でも述べたように、「ユーザー視点に立つこと」(UX)が選ばれ続けるシステムであるためには重要です。そのためにユーザビリティテストを行い、開発担当者だけでは見えてこなかった課題を発見し改善していくことで、ユーザビリティを向上させてみませんか?