ForePaaSでやってみたその①  ~テレワークを見える化~

三菱総研DCSデータテクノロジー部早野です。

データ分析収集ツール「ForePaaS(フォアパース)」を使って
テレワーク勤務状況の可視化にチャレンジしました!
題して、「皆さんテレワークでどんな仕事してるのか見える化」です。

    目次
  1. 新型コロナウィルスにより突然始まったテレワーク
  2. いざ、研究開発へ!
  3. 勤務状況を可視化しよう!
  4. 完成イメージを考えてみた
  5. さて、どうやって「可視化」しよう
  6. ForePaaS(フォアパース)とは
  7. まずは材料を集めましょう
  8. ForePaaSの威力凄まじき!
  9. コレはホントに困った
  10. さいごに

新型コロナウイルス感染症により突然始まったテレワーク

コロナウイルス感染症が騒がれ始めた頃、私は客先常駐で課長をやっておりました。
社員10名、BPさん30名と比較的大所帯でワイワイやっていました。

しかし、ある日、お客さまも困ったような表情で
  「明日から自宅待機でスミマセン」
と、突然のテレワーク生活を告げられたのです。

「働くスタイル」も大きく変わり、客先常駐だった私は
スーツに着替え、電車に乗り、会社へ行き、同僚と会話をする 生活から
                                                ↓
パジャマのまま、自宅で、PCを立ち上げ、黙々と資料を作り、顔の見えない相手と会話する 生活になりました。

はじめのうちは戸惑ったテレワークでしたが、一つひとつ手探りしながらも慣れてきて業務を遂行できるようになりました。
が、慣れるのと時期を同じくして私の頭にはモヤモヤと「?」が沸き上がります。
  いま、彼は何の作業をしているのだろう?何でこんなに時間がかかっているの?まさか・・・サボっている?・・・

・・・・しかし、なんてことはない、とあるツールの使い方で苦戦していて時間がかかっていたとのこと。サボりを疑った自分を恥じると同時に、テレワークのやりづらさを痛感しました。
  メンバーが何に困っているのかリモートだと分かりづらいゾ

いざ、研究開発へ!

そんなこんなで時は流れ、私は本社勤務になったのですが、ザックリ新しいミッションは
 ・新規事業企画&開拓
 ・データの利活用
でした。
そして、「お客さまのビジネスニーズや業務課題の解決を起点に、お客さまに分かりやすいソリューションをつくる!」というスローガンのもと分科会が作られ、ほぼゼロベースで新しいソリューションを考えることになりました。
分科会メンバー内、他部有識者、懇意にしているお客さまと情報交換・・・、などなどと意見交換を行い、辿り着いたテーマは
「ログ/データ活用による情報システム部門自体のDX(効率化・高度化)にて、企業業績の向上に寄与できる」
となりました。
疲弊している情報システム部を何とかしようよ!
このテーマで研究開発に突入です!  (ForePaaSはもうすぐ登場シマス)

勤務状況を可視化しよう!

情シスを助けようゼ!という方針は決まったものの、どうやって楽にするか?
について、メンバー内でまたもやあーだこーだ議論を重ね、幾つか案を出しました。

実際にお付き合いのあるお客さまを訪ねてズバリ「どれが良いですか?」
と、聞いてみました。
ときには「こんなの現実的じゃないよ!」と𠮟咤激励されることも・・・。

さて、お客さまのウケが1番良かったのは「作業状況の可視化」でした。
やはりお客さまも
   テレワーク環境下での「コミュニケーション効率、質の低下」
を問題視されていましたねー。
私が客先常駐時代にモヤモヤしていた悩みをお客さまもお持ちだったのです。
可視化は単に管理がしやすくなる、という側面だけではなく、
 「自分自身がどんな作業をしているのか?何に時間を使っているのか?誰と会話が多いのか?少ないのか?」
を本人が知ることで、一人ひとりの業務効率化につながるじゃん! とのご意見もいただきました。

という訳で「テレワーク環境下における、配下メンバーの業務可視化」として、具体的には
 ①体調面、メンタルヘルス面、タスク管理面の情報収集・可視化
 ②個別開発システム(EUC)の発見・可視化
 ③勤怠管理系要素の可視化
の実現性を研究開発することになりました。

完成イメージを考えてみた

まずは夢物語ということで、業務可視化の完成イメージを描いてみました。
これをどこまで実現できるか・・・。

さて、どうやって「可視化」しよう

ゴールが決まったことでがぜんメンバーのモチベーションも上がり、精力的に次のステップへ足を踏み入れました。
まずは世に出回っている可視化ツールについて調べることからスタートしました。

・・・・これが、思ったより結構あるんですよね。
 ・体調管理ボット
 ・勤務場所管理ボット
 ・1時間ごとにどんなソフトを使用していたのか、打鍵回数や操作時間などの一覧化
 ・アプリケーションレポート(メンバー間のアプリ利用時間の比較など)
 ・コミュニケーショングラフ(誰と誰がどのぐらいコミュニケーションのグラフ化)
などなどいろいろな製品があり、われわれは「どの製品がいいかな?」と製品選びをしておりました。
そんな時です。

 「他社の製品を担ぐのが研究開発なの?」
 「DCS独自の色はどうやってだすの?」

と、迷走しかけていたわれわれに天(ボス)の声が降りてきたのです!
「可視化するんだ」に意識が行き過ぎて大事なことを忘れていました。やっぱりDCS独自で製品・サービスを創造したいですよね。
また、既存製品だと「汎用性」が効かないことも分かりました。仕様どおりのグラフ、ダッシュボードしか表現できずカスタマイズができないのです。
これだと、お客さまが必ずしも「本当に知りたい情報」「見たい情報」とは限らない訳で、逆に「ここが差別化ポイント」だなと考えました。

そこで ForePaaS が登場するのです!!
(長い前段でしたが、やっと真打登場です)

ForePaaS(フォアパース)とは

さて、まずはForePaaSとは何か?について触れたいと思います。
一言でいうと「ビッグデータ解析に必要な機能がオールインワンで備わっている」製品ですね。フランス製です。

特徴は3点ありまして、
「ローコード開発によるスピード」「コーディングによるカスタマイズ」「外部サービス連携などのコラボレーション」です。
当然、われわれが目を付けたのは「カスタマイズ性」と「データの可視化」です。

ForePaaSの詳しい情報はForePaaSで実現するビジネス変革 (三菱総合研究所のサイトです)をぜひともご参照ください!

まずは材料を集めましょう

心臓(ForePaaS)は決まったので、次は材料集めに奔走することになりました。
可視化するには元となる「データ」が必要で、ここではいろいろな「ログ」を指しています。
 その人がどんな業務をやっているのか?        → PCの操作ログはどうだろう(QNDログ)
 その人は誰と会話・連携をとっているのか? → コミュニケーションログか(o365ログ)
 その人はどんな悩みを抱えているのだろう? → アンケートログはどうだろう(Formsログ)
※情報システム部の皆さまに多大な協力をいただきました

集めたログをそのままForePaaSに送ることはできないので、ログの保管&加工用のサーバーも必要。 ここはわが社の誇る「FINEQloud」でLinuxサーバーを用意。

文書だけじゃ分かりづらいですよね。皆大好きシステム構成図です。

ForePaaSの威力凄まじき!

いろいろな準備や環境整備、もろもろ調整事項にめどが立ち、いよいよ「可視化」へ取り組む準備が整いました。
ForePaaSの本丸へ突入です。
今回やりたいことは業務の「可視化」です。いろいろなログを掻き集めても、ログのままではただの文字の羅列です。
ポイントはこの「文字が意味するものは何」なのか、その「意味するものをどう表現」するのかであり、それを簡単に実現するのがForePaaS!
研究開発ではForePaaSのいろいろな恩恵にあずかりましたが、ここでは数点ご紹介します。


カンタン① ~ログを意味のある形に~

生ログをそのまま使えれば楽なのですが、そういう訳にはいかないのが辛いところです。それぞれの製品によってログの仕様やフォーマットは異なりますからね。いわゆるデータ加工です。
ForePaaSはテーブル結合やグラフ表示といった操作を「1つの画面」で作成できるので、行ったり来たりせず効率的に作業ができます。

DATA MANAGERという機能から作業可能でして
下記のとおり、視覚的な作業が可能です。

<テーブル結合>                        <DATA MANAGER・テーブル>


カンタン② ~データ取り込みが容易~

データ取り込みのインターフェースが充実しており、データ連携は苦労しませんでした。用意されているAPI群を紹介します。


カンタン③ ~いろいろ教えてくれる!~

世の中にはいろいろな製品やツールがあり、それを使いこなすためのマニュアルがあります。
・・・あるのですが、マニュアル読んだだけでは使いこなすのは難しく、そもそもマニュアルが1,000ページ級・・・っていうのはよくある話。
皆さんも経験あると思いますが、マニュアル片手にいろいろ試してみて、それでも分からなければサポートに問い合わせ、という流れかと思います。
そして、、、このサポートにも苦い経験した方が多いのではないでしょうか。
(レスが遅い、こっちの意図が伝わらない、何言っているのか分からない・・・)

その点、ForePaaSサポートは頼りがいがあります!
レスポンス早く、回答内容も分かりやすい。
更に、WEB上のサポートページのノウハウ集はリアルタイムで更新されます。われわれが問い合わせた内容がそのままリアルタイムで更新されていました。

そんなこんなでForePaaSの威力を実感しつつ、当ブログ執筆時点(2022年5月)では未完成ですが、ある程度ダッシュボードが形になってきました。
このように可視化しています。

可視化についてパッと思いつく足りない項目としては
 ・残業時間 分単位→時間単位
 ・棒グラフの幅を調整
 ・メールアドレス表示を氏名表示
 ・会議の時間枠を別色で表示
 ・36協定違反になりそうならアラートを画面に表示
などが挙がり、まだまだ改善点がありますねー。
課題の積み残しもあり、例えば「ログ収集→加工→連携」の完全自動化や、QND以外の操作ログ(CWATやLanscope)での実装、業務量の表現(キーボード打鍵やマウス操作をどう仕事量として考えるか)、夢は広がる一方検証する項目も増えていっております。

コレはホントに困った

この手のブログの「あるある」ですが、困ったこと・苦労したことを纏めてみました。
(ホントはもっといっぱいあるけれど笑)

①可視化がうまくできない
上の方で天の声が降りてきた、というクダリがありましたが、可視化するにあたり製品固有の決められた描画ではなく、必要な情報を真芯で捉えてアウトプットしたい!その自由なカスタマイズ性が既存製品との差別化になる、と考えていました。

ForePaaSはデフォルトで用意されているグラフ群は少ないです。それは当たり前で、いろいろな描画・ダッシュボードをカスタマイズできるのが長所でもあり、しかしながらそこは開発が必要です。
ただ、われわれ研究開発要員はForePaaSの技術者だったわけではなく、
試行錯誤が必要でした。
確かにローコード開発ではあるのですが、ノーコード開発ではありません。
そこで社内有識者のヘルプをもらい
 「外部リポジトリを使用してローカルで開発するとやりやすいよ」
とアドバイスもらい先に進むことができたのです。こんな感じで開発ツールを使用しました。

②チャットボットが使えない
テレワーク全盛となって
 「彼は今日出勤だっけ?在宅だっけ?」
 「WEB会議で声に元気がないように感じたけど体調悪いのかな」
 「WBSに現れない進捗の遅れや、個人的に悩んでいることあるんじゃないかな」
これらが気軽に聞けなくなりました。以前はふらっと席まで行けば聞けたんですけどねー。。
そこで、
 チャットボットの仕組みを作り、ボット君が毎朝メンバーへ質問し、その結果を収集して可視化する
というソリューションを考えていました。

が、しかし、採用を考えていたチャットボットのツールだと回答結果を収集できない・・・という致命的な欠陥が見つかったのです。
「やってみなきゃ分からない!」が研究開発の宿命とは言え予算確保した後でもあり、正直焦りました。

研究開発メンバーで頭を突き合わせ、費用が掛からない形で代替できないか?を検討した結果
 「PowerAutomate」 + 「Forms」 + 「Teams」
を組み合わせる形で何とか要件が満たせそうだ!ということが分かり急きょ路線変更したのです。既存ライセンス範囲でひねり出しました。

チャットボットの代替として、アンケートを利用した形です。ただこれは苦肉の策ではあるので、もっとシンプルな構成にならないか継続調査中です。
(どうやらPower Automateでチャットボット化できそうな?!)

③ログを集めるのが大変
PCの操作ログ、メールログ(誰が誰に送信したか)、Teamsチャットログ
これらのログは業務可視化には欠かせない要素なのですが、一方で捉え方によっては「管理」の枠を越えて「監視」と受け取られてもおかしくはありません。操作ログを分析するのは従業員を信頼していない(サボっている)からでは!・・・・と。

やりたいことは「業務可視化」によってテレワーク下での数々の課題解決であり、監視ではありません。

このような側面があるので簡単にログが手に入った訳では無く、情報システム部やコンプライアンス担当、リスク管理担当へ相談し、主旨や狙いを理解してもらった上で、なんとかログを集めることができました。

④メンバーの時間を確保できない
ある意味・・・・、一番苦労したのがコレかもしれません。
研究開発メンバーは研究開発だけに専念できる訳では無く、現業と兼務で開発業務に携わります。当然前もってリソース計画を策定し、業務を調整して体制組成はしているのですが、
 「急な案件が入った!」「ちょっとヘルプして欲しい!」「サーバ止まっちゃいました」
など突発的な要因によって計画どおりに進まない・・・ということが多々ありました。結果的に当初計画(7か月)を10ヶ月に延長し、研究開発を継続することにしました。

最後に

長々と語ってきましたが、さいごになります。ここまでお付き合いありがとうございます!

本ブログのタイトルに、あえて、「その①」と付けているのは、この試みはまだ始まったばかりであり、もっと改善したいことや取り組みたい要件・機能があり、第2弾・第3弾と続けていくぞ!という意思の表れです。
可視化要素に「進捗管理」も取り入れたいですし、各要員の課題解決との連動も欲しいですし、他にもいろいろなニーズがありますので改良に改良を重ねたいと思います。乞うご期待!