三菱総研DCS株式会社 テクノロジー企画部 神嵜です。
2024年にVMwareがブロードコム社に買収され、ライセンス体系の変更などが発生する中、
オンプレミス基盤の更改などを機に、AWSへの移行を検討されるケースもあるかと思います。
今回、Veeamを用いてオンプレミスからAWSへ移行を実際に行いましたのでその手順をご紹介します。
おわりに、実施した上での考慮点もまとめておりますので、ぜひ最後までご一読ください。
以下の目次に沿ってご紹介いたします。
はじめに
今回は、Veeam社のVeeam Backup & Replicationを用いて、AWSにvSphere上のゲストサーバ(VM)移行をします。
具体的には、Veeam Backup & ReplicationにてオンプレミスのVMをバックアップし、
バックアップしたVMをリストアする際にAWSを指定することでVMの移行を行います。
AWSへの移行には、AWSネイティブサービスであるVMimportが存在します。
Veeamを使用する主なメリットとしては以下が挙げられます。
・GUIによる直感的な操作でバックアップからリストアまで一気通貫で実施可能
・オンプレミスとAWS間のネットワークが細い場合に、
リポジトリ機能と差分バックアップを活用することでダウンタイム時間を圧縮可能
・VM側にエージェント等をインストールすることなく移行が可能
今回は検証目的のため、Veeam上の設定を一部標準のまま行っています。
実運用時には必要に応じて追加設定を実施してください。
事前に用意しておくべきリソースは以下の通りです。
・Veeam Backup & ReplicationのISOファイル、ライセンス
・Veeam Backup & ReplicationをインストールするWindowsサーバ(Veeamサーバ)
・vSphere vCenterのIPアドレス、管理者権限のID/PW
・移行対象のAWS(VPC、NWなどが設定済のもの)
・AWSの移行用アカウント
・AWSとオンプレミス間のネットワーク
Veeamシステム環境
今回はオンプレミス上にVeeamサーバを配置し、オンプレミスとAWS間はインターネット経由での接続を想定しています。

・VMにエージェントを入れる必要はありません。
・VeeamサーバはvCenterおよびインターネットにアクセスできる必要があります。
Veeamインストール
Veeam Backup & ReplicationをVeeamサーバにインストールします。
1.ISOファイルをダウンロードしてVeeamサーバをインストールするサーバにマウントします。
※ISOファイルサイズは10.9Gbでした。
2.[setup.exe] を選択して[Veeam Backup & Replication]をインストールします。
3.[License Agreement]内容を確認し問題なければ[I Accept]を選択します。
4.[License]で保有するライセンスを登録し[Next]を選択します。
5.[Ready to Install]にて[Install]を選択しインストールを開始します。
6.インストール進行度によって画面が進んでいくので待機します。
7.最後に[Successfully installed]となっている事を確認し、[Finish]を選択します。
vCenter情報の追加
VeeamでVMをバックアップするために、vCenterをVeeamサーバに登録します。
1.Veeam Backup & Replicationコンソールを起動し、[Inventory] を選択し、
[Virtual Infrastructure]から[Add Server]を選択します。
2.[VMware vSphere] を選択します。

3.[Name]でvCenterのIPアドレスを設定します。

4.[Credentials]で[Add]を選択します。
vCenterの管理者アカウント情報を設定し[OK]を選択します。

5.[Apply]を行い[Summary]で設定したvCenterサーバの保存が成功したことを確認します。
6.[Server] を選択します。
[Virtual Infrastructure]から[追加したvCenter Servers]を選択します。
7.右ペインにVM一覧が表示されることを確認します。
これでバックアップを行うvCenter情報の追加は完了です。
バックアップ
Veeam Backup & Replicationを用いてAWSに移行するVMのバックアップを行います。
1.[Home] を選択します。
[Backup Job]から[Virtual machine...]を選択します。
2.[New Backup Job]の[Name]に任意の名前を設定し[Next]を選択します。

3.[Virtual machines]で[Add]を選択します。
アクティブウィンドウ内で、対象vCenter内の[バックアップ対象VM]を選んでから、
[Add]を選択します。

4.[Virtual machines]の[Virtual machines to backup]内に3.で選択したVMが
追加されていることを確認し[Next]を選択します。

5.[Strage][Guest Processing][Schedule]はデフォルト設定のまま[Next]を選択します。
6.[Summary]で設定内容が想定通りであることを確認し[Finish]を選択します。
7.[Jobs] を選択します。
6.までで作成したバックアップジョブを選択します。
[Start]を選択します。
8.バックアップが完了して[Last Result]がSuccessになっていることを確認します。
これでAWSにリストアするVMの準備は完了です。
リストア
バックアップが完了したVMをAWS上にリストアします。
1.[Backup] の[Backups][Disk]からリストア対象のVMを選択します。
右クリックから[Restore to Amazon EC2]を選択します。
2.[Machine] で対象サーバが選択されていることを確認し[Next]を選択します。

3.[Account] の[AWS account]で、[Add]を選択し、予め用意しておいた
AWS accountを設定します。
Data Centerでリストアしたいリージョンをプルダウンから選び、[Next]を選択します。

4.[Name]で想定したVMが選択されているか等確認し、[Next]を選択します。
5.[Instance Type] で[Edit]を選択してリストア予定のインスタンスタイプを設定します。
OSライセンスをAWSで発行するか選べます。設定が終了したら[OK]を選択します。
設定した内容が表示されますので、確認して[Next]を選択します。

6.[Network] で[Customize]を選択します。
予め設定済のVPC、Subnet、Security groupを設定し[OK]を選択します。

7.[Network] で設定した内容が表示されていることを確認して[Next]を選択します。

8.[Secure Restore] はそのまま[Next]を選択します。
9.[Helper Appliance]で[Customize]を選択します。
予め設定済のSubnet、Security groupを設定し、[OK]を選択します。
※Instance Typeは今回そのままにしています。

10.[Helper Appliance]で[Use the helper appliance(recommended)]にチェックを入れ
[Next]を選択します。

11.[Reason] はそのまま[Next]を選択します。
12.[Summary] でこれまで設定した内容に間違いがないことを確認し、[Finish]を選択します。
13.[Restoring VM] のStatusが[Success]になっていることを確認して、[Close]を選択します。
これでオンプレミスのVMをAWS上にてリストア完了です。
AWSマネジメントコンソール上からも確認可能です。
おわりに
Veeamを使用することで、非常に簡単にAWS上にリストアができました。
手順自体は御覧頂いた通り簡単です。
ただし、実際にリストアした際にいくつか構成面等で考慮が必要でした。
実際に発生した考慮点の中で、主要なものを記載いたします。
・オンプレ⇔AWS間に10Mbps共用回線を利用した場合、初回バックアップでは、
インストールしたてのOSでも4時間程度かかりました。
・Veeamサーバには、vCenterの管理者権限を設定する必要があります。
・AWSにリストアする際、Veeamサーバはインターネットアクセス出来る必要があります。
・AWSに持ち込む上で、ゲストOSの種類によって
Windows/RHELともに事前の設定が必要な場合があります。
・RHELはVeeam上でリストアする際にライセンスに関する設定はできません。
保有するライセンスを確認し、条件によっては別途購入などが必要です。
移行計画の策定から移行作業、移行後の運用等まとめて弊社にてご提案が可能です。
ご興味がございましたら、ぜひ以下URL の下部にあるお問い合わせよりご連絡ください。
以上です。